なぜバドミントン学会が必要なのか?


現状

 日本の少子高齢化が進む一方で、昨今のスポーツ界は一定の活気を保っています。トップレベル競技者の国際的な活躍はもちろんですが、老若男女がさまざまなスタイルでスポーツを楽しんでいます。
 バドミントン界もトップレベル競技者の世界的な活躍が顕著であること、ジュニア世代の日本バドミントン協会への登録者数が増加していること、シニア世代やパラ・バドミントンの活動が活気を得ていることなど多様な拡がりを伴った発展が認められます。そこにはバドミントンが競技的に頂点を目指すという上昇志向に基づく拡がりだけでなく、さまざまな人びとがさまざまなスタイルで親しむことのできるスポーツとして着実に発展してきた姿を認めることができるでしょう。
 発展の背景にはいくつもの要因が考えられますが、バドミントン関連団体による科学的な知見の探求、日本人のみならず外国人も含む指導者の実践的な知見と技術の創造、さらにはテクノロジー活用の可能性を示した企業や個人の存在などがあったことに疑いの余地はないでしょう。

さらに発展するために
 一方、バドミントンに関わる「知」について考えてみたとき、そこには体系化された知と必ずしも体系化されていないノウハウのようなものとが存在するように思われます。研究によって実証あるいは検証されたのちに体系化された知から指導者や選手の経験に基づく知まで、じつに多くの「知」があることでしょう。しかし、これらの「知」について関係者が一堂に会して活発に議論し、バドミントンの本質を探究する場があったか、あるいは、バドミントンに関わる「知」に誰でもが比較的手軽にアクセスすることができ、かつ携帯可能な形式で蓄積、保存している拠点的な場があったかと問うたとき、残念ながら、そうではなかった現実を直視しないわけにはゆきません。つまり、バドミントンの発展を支えてきた多種多様な「知」が、一部の個人やコミュニティの中で継承されているに過ぎない状況が続いてきたこと、そして、このことは、「知」が時間の経過とともに消失してしまう可能性の高い状態でしか保存されてこなかったことを意味します。
 いま私たちの周囲にはじつに多くのバドミントンの「知」が溢れていることが確認できましたが、現在のところ、それらが関係者の共有財として、また、後世に確実に残すことのできる形式として存在していないことにも気づきます。日本中に点在してしまっている多様な「知」を、継承可能なものとして、また、より多くのバドミントン関係者に還元可能なものとして集約していくことや、それらの「知」を活かしながら、さらなる「知」を創造、発信していくことは日本バドミントン界の喫緊の課題と考えられます。

バドミントン学会の意義
 そこで、日本バドミントン学会は、将来の学術研究団体登録を目指し、バドミントンを包括的に議論していくコミュニティとしてさまざまな活動を展開してゆきます。しかし、単なる研究者コミュニティとして存在するだけではなく、関係するあらゆる人びとの興味や関心を受け入れて活動を展開していくことや、既存のスタイルに依拠した研究ばかりでなく既存の学術研究団体等では受け入れられにくい実践者の経験則などについても積極的に受け入れることを根幹に据えた組織を目指します。このことを通じて、コーチング、教育および社会活動と研究を有機的に連関させることのできる組織を構築します。